トム・ソーヤーの冒険』より
〜いぼとりのおまじない〜


(2009年11月7日更新)

『赤毛のアン』より

The children are all slowly wending their way towards the little schoolhouse on the edge of town.
学校のある町はずれへ、みんなぞろぞろ歩いていく。

But not Huckleberry Finn, he's going the opposite way !
だが、このハックルベリ・フィンはちがう。反対のほうへ向かっている。

His hat is in ruins, and his coat is a baggy affair that once belonged to a man twice his size.
破れぼうしに、からだがふたつはいるぐらいのよれよれの上着。

Only one suspender supports his drooping trousers.
ズボンつりはかたほうだけ。

In fine weather he sleeps on doorsteps, and in wet in empty hogsheads.
晴れた夜はどこかの家の入口、雨の晩はあきだるのなかで眠る。

School, church, and other signs of respectability, he shuns.
学校とか教会とか、かしこまったものはいっさいごめん。

Naturally all the parents frown on him, and they forbid their children to play with him.
そこでおとなたちは顔をしかめて、ハックと遊んじゃいけないと言っていた。

Huck.   Wanta see what I've got?
ハック トム、いいもの見せてやろうか。
Tom. What is it?
トム 何だい、それは。
Huck. Dead cat.
ハック ネコの死んだの。
Tom. My, he's pretty stiff.
トム ふうん、かちかちになってるね。
What're you gonna do with him?
これをどうするんだい。
Huck. Get rid of these warts.
ハック いぼを取るのさ。
Tom. What's the way of it?
トム どうやって。
Huck. Why, you take your cat to a graveyard round midnight.
ハック 真夜中に墓場へいってな。
When you hear a devil rustling about, you heave your cat after it and say,
悪魔が風に乗ってざわざわっと出てきたら、そいつにネコをなげつけて、
"Devil follow corpse,
「悪魔は死がいを追っかけろ。
Cat follow devil,
ネコは悪魔を追っかけろ。
Warts follow cat,
いぼはネコを追っかけろ。
I'm done with ye !"
これであばよ」と唱えるんだ。
Tom. I know something that's better.
トム そんならもっといい方法があるぜ。
You jam your hand down into the rainwater in a rotten stump and say over it,
くさった木の切り株にたまった雨水に手をつっこんで、
"Barleycorn, barleycorn, Injun-meal shorts,
「大麦、大麦、インディアンのごはんはポーロポロ。
Spunk water, spunk water, swaller these warts."
たまり水、たまり水、このいぼとーれ、ポーロポロ」って言うんだ。
Huck. Bob Tanner tried that, but it didn't work.
ハック そいつはボブ・タナーがやってみたが、だめだったぜ。
Tom. Well, he must've done it wrong then.
トム きっと、やり方がまちがってたんだ。
After you stick your hand in the stump, you've gotta back off eleven
steps with your eyes shut.
手をつっこんでから、目をつぶって十一歩さがる。
Then you turn around three times and go off home.
それから、三べんまわって家に帰る。
And on the way back, you're not allowed to speak to a single soul !
そのあいだ、だれにも口をきいちゃいけないんだぞ。
Huck. I don't reckon he did exactly like that.
ハック ボブは、そこまでちゃんとはやらなかったな。
Tom. No, sir, you can bet he didn't.
トム そうだろう。

出典:ラボ・ライブラリー(ラボ教育センター)

 原作者
 マーク・トウェイン(Mark Twain)1835年〜1910年
本名
 サミュエル・ラングホーン・クレメンズ
1935年ミズリー州フロリダ生まれ、4歳でミシシッピ河畔のハンニバルという村へ移った。森と川に囲まれた子供の楽園で過ごす。
12歳で父を亡くし印刷工として働く。蒸気船の水先案内人、新聞記者を経て作家となる。
「トム・ソーヤーの冒険」(The Adventures Of Tom Sawyer)は1876年発表した作品。
他に「ハックルベリ・フィンの冒険」など多数。

 『トム・ソーヤの冒険 上』 マーク・トウェイン作 石井桃子訳 岩波出版1952年 101P

木の切り株に溜まった雨水に手をつっこんで「麦つぶ、麦つぶ、トウモロコシのひきわり粉、たまり水、たまり水、このいぼのんでくれ」の記載があります。



 完訳クラシック 赤毛のアン1 『赤毛のアン』 L.M.モンゴメリー 掛川恭子訳 講談社文庫2005年 220P

アンの家にダイアナがお茶によばれて学校の様子についてアンに報告する場面で
「ルビー・ギルスが、クリークに住んでいるメアリー・ジョーばあさんにもらった魔法の小石で、いぼを全部とった---嘘じゃない。いぼをその小石でこすって、新月の夜、左の肩越しに投げ捨てると、いぼは全部とれてしまう。」という記載があります。



かねがねトム・ソーヤーの冒険の中にいぼ取りのお呪い(おまじない)があるということを聞いてはいましたが、この度その原文に初めてお目にかかりました。


日本には「いぼいぼ飛んでけ。いぼいぼ飛んでけ。」のお呪いがありますが同じようなお呪いがアメリカにもあったことを知って嬉しくなりました。

日本のいぼ神様も溜まった雨水をつけてイボを取るケースが最も多いようですが、海を隔てたアメリカでも同じような発想があることを知って同じ人間であることを実感しました。

中でも私達の訪ねた沼津市原の千本松原にあったいぼ神様は古い松の巨木の窪みに溜まった水をつけるいぼ神様で、まさにトム・ソーヤーのいぼ取りの日本版でした。

 『赤毛のアン』にはイボを小石でこすってとる話が載っています。 (平松皮膚科医院 平松洋)



ネット検索でアイルランドにあるいぼとり水(イボコロリの水)を紹介しているブログをみつけました。
ナオコガイドのアイルランド日記というブログです。
2006年9月21日のページを紹介します。


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