峠の穴地蔵(いぼ神様)
〜静岡市小坂日本坂峠〜


ネットサーフィン中にJR東海のホームページの中で日本坂峠に峠の穴地蔵といういぼ神様があることを見つけました。平安期以前の東海道の道筋が日本坂峠を通っていたといわれています。日本武尊(やまとたけるのみこと)が敵に追われて隠れたと言い伝えられている日本坂峠の穴にある地蔵さんなので峠の穴地蔵と言われています。静岡市小坂の静岡鉄道バスの終点小坂公民館前から細い車道を進むとトイレと駐車場とハイク案内板のある別れ道に着きます。別れ道には1832年(天保3年)に作られた花立観音菩薩(はなたてかんのんぼさつ)がありました。書かれた説明によると日本坂峠を越える旅人の安全と子供の無病息災を願って作られたものです。

日本坂峠への別れ道 日本坂峠への入り口
左の道は日本坂峠へ
右の道のすぐ先に御坂堂
角の石仏は花立観音菩薩。
舗装された農道の突き当たりから
細い山道を登る
20分で日本坂峠。


別れ道を右に曲がった小坂川の渓流沿いに地元小坂地区の産物なども販売する歴史を語る文化茶屋として知られる御坂堂があり、店主の地元の歴史に詳しい成沢さんにお会いして峠の穴地蔵のことを取材させて頂きました。穴地蔵に手で触れていぼとりを祈願するといぼが取れると言われています。いぼが治ったらお礼参りは穴あき石を拾って来て奉納するそうですが、穴あき石のない場合は丸い普通の石でも良いそうです。石の代わりに花を奉納したり、お酒を地蔵さんにかけたりします。訪問時には白いよだれかけをしていましたが1979年(昭和54年)5月発行された神村清著(静岡新聞社発行)の「静岡県峠のハイキング」には「赤いよだれかけをかけた石地蔵、真白いダンゴと一輪の花」と書いてありました。別れ道から20分ほどの歩きで車の走れる舗装された農道の終点に着き、そこからは細い山道を20分ほど登ると日本坂峠に着きます。山道は夏草が伸びていて蜂や薮蚊が多く山の好きな人でないとお勧め出来ないコースです。日本坂峠(標高約300m)に着くと十字の別れ道で左に花沢山、右に満観峰(まんかんほう)、まっすぐ下ると焼津市花沢の里です。満観峰への曲がり角の左手の斜面に切石で囲った岩室があってその中に二体の地蔵さんが納められていました。

日本坂峠 峠の穴地蔵
日本坂峠
道のすぐ左奥に穴地蔵の石室。
まっすぐ登ると満観峰。
峠の穴地蔵(いぼとり地蔵)
花と石が奉納されています。


岩室の周りには奉納された穴の開いた石がありました。写真を撮っていると山の見回りをしているこのあたりの山の地主のMさんに運良く出会いしました。Mさんは地蔵さんのまわりにある灰汁柴(アクシバ)の木の枝を手際よく切って花に添えて花立に飾りました。アクシバは自分で植えた樹木で、花は造花で見回りの時にはいつもやっていることだそうです。早速Mさんにいぼ神様のことを尋ねたのですがご興味がないようでした。(2002年8月11日記)

奉納された穴あき石と丸い石 花を整備する山の地主さん
奉納された穴あき石と丸い石。 花を整備する山の地主さん。

灰汁柴(アクシバ)

この木を焼いて灰を灰汁(あく)に使ったので灰汁柴と書きます。ツツジ科アクシバ属の落葉低木で日本全国に分布するが主として日本海側に多い。花は6月から8月に咲き、蕾の時は水滴のように見えて京都地方の方言では「嫁はんの涙」という。

峠の穴地蔵へのアクセス→Google Map

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